14.01.2022

不確実な時代の意味を解明

コロナ後の最適なマーケティング支出を把握

2020 年 3 月、新型コロナウイルスによってブランドと消費者の関係は一変しました。小売、レジャー、接客業界では、顧客とリアルに接するすべての手段を失いました。実店舗での販売は生活必需品に限られ、多くの消費者が外出自粛している中で、消費者の購買行動はがらりと変わり、デジタル プラットフォームの利用が進みました。

マーケティングと広告の在り方も大規模な変化にさらされ、世界中のビジネスに難題や混乱をもたらしました。しかし一方で、チャンスもありました。

初期のロックダウンで見られた消費者の購買行動の変化

 

出典 1, 2, 3, 4, 5

同時に、消費者の娯楽行動も変わり、デジタル コンテンツの消費が急上昇しました。

2つのデータによって明確になったのは、世界規模のロックダウンにより消費者がデジタル チャンネルやメディアに大きく依存するようになったことです。では世界中の企業はどう対処したのでしょうか?

「デジタルへの転換」 – 戦うか逃げるかの選択

これまでオフラインでの販売とマーケティング施策に依存してきた多くの企業にとって、ロックダウン中の迅速な「デジタルへの転換」に生き残りがかかっていました。新たな収益源を探り、デジタルの世界で広く知られるようになったことで、かつてない成長を見せた企業もありましたが、転換できない企業の多くにはそんな幸運は訪れませんでした。

ただし、成功した企業を窮地から救ったのは「デジタルへの転換」そのものではありません。重要だったのは、速いスピードで予想外の危機に対応し、消費者行動の変化に合った営業・マーケティング計画を新たに展開する機敏性と能力でした。

「新型コロナウイルスのように、予測不可能だが想定しておくべき稀な出来事は常にあります」とSpencer Ng(GfKのAPACマーケティング アナリティクス リード)は言います。「混乱を切り抜ける真の備えとは、さまざまなシナリオに対する準備をしておくことと、それらに対する適切なアプローチを考えておくことです。経済の不確実性のレベルが日々高まっている今、マーケターは、事前に代替案を準備して、マーケットの変化にすばやく対応できなければなりません。」

「しかし、ビジネス モデルとしての『デジタルへの転換』で得られるのは短期的な持続性だけです。人々にとっての長期的なレジリエンスと成長の鍵にはなりません。次のステップは、事業にとって重要なものを測定すること、デジタルへの転換の効果を定量化すること、そして絶えず最適化することです。マーケティング予算のあらゆる支出について、この低迷期に ROI の向上につながるか確かめたいはずです。」

実際、休業を強いられていた店舗が再開したときには、物理的な買い物行動への回帰によって、強く迅速な立ち直りが見られました。2020 年春の最初のロックダウンでは、世界中のすべての地域で、従来の販売チャネルでの 2020年第2四半期の売上高が前年比で 20 ~ 50% 落ち込みました。しかし、2020年第4四半期 までに、多くの国で店舗販売が再開され、従来の販売経由にて、対前年比で +0 ~ 10% の範囲で長期的な水準に回復しました。6

最近の新型コロナウイルス感染者の増加で、さらなるロックダウンが実施され、従来の店舗の売上に同様な影響が出ていますが、店舗が再開すると、毎回同じ傾向が見られます。このため、結論として、デジタル チャネルは今後も極めて重要であり続けますが、従来の販売が振るわないままということは決してないと言えます。

未来への期待 – いずれは訪れるポストコロナ時代の回復を予測

パンデミック自体は予測不可能かもしれませんが、世界経済の回復の道筋はある程度予想できます(いつとは言えませんが)。2021 年 3 月、世界貿易機関は、2021 年の世界の貿易取引量に 8% の増加が見込まれるという回復可能性のシナリオを提示しました。このシナリオは以下の図で示されています。7

残念ながら、このシナリオの予測以降に、コロナウイルスのデルタ変異株が出現したことで、最終的に回復傾向がどう展開するか、なお一層不確実になりました。ビジネス リーダーやストラテジストとしては、潜在的な不確実性が何かを知るだけでは役に立ちません。パンデミックで何がもたらされるかを現実的に把握してどう対応するかを計画し準備することが必要です。

GfK が独自に保有している耐久消費財の販売データでは、オフラインからオンラインへと販売経路が大きくシフトしていることが分かっています。しかし、コロナの影響とその回復の可能性を評価しようとしても、業界によって千差万別です。このため、重要なのは、ロックダウンが自社ブランドにどう影響しているのかを把握し、どのようにマーケティングミックスを最適化し、適時適所でオーディエンスにリーチするための支出をどう策定するのがベストかを理解することです。

マーケティング ミックスモデリングによるシミュレーションと最適化

GfK のマーケティング ミックス オプティマイザー(MMO)は、コロナ後の回復期に向けた計画を立てる上での不確実な要素を取り除きます。MMO は売上に影響する要素を包括的に捉えて考えます。メディア プラットフォームの個別の影響を定量化し、売上レベルを予測する際に、コロナ関連の休業や顧客の信頼に起こる変化といった制御不能な要素を切り分けます。

MMOでは、さまざまなマーケティング計画について売上の結果をシミュレーションでき、各チャネルでの最適な支出レベルを示すので、コロナ後の回復または悪化のシナリオを試しながら、(シナリオに応じて)売上または費用削減を最適化し、最大の ROI を得ることができます。

「GfK の MMO は、モデルの構築とマーケティング ミックスの最適化に最先端の遺伝的アルゴリズムを使用しています。」と Spencer Ng は話します。「想像してみてください。数千のマーケティング ミックス計画をシミュレーションして最大のリターンを生むプランを特定するのです。顧客のために、考え得るすべてのシナリオについて瞬時に判断する。MMO はそれができるのです。」”

GfK MMO がビジネスにもたらすメリット

 

さらに詳しい情報

GfK の APAC マーケティング アナリティクス リードである Spencer Ng によるウェビナー(英語)にて、不確実な時代におけるマーケティング投資の最適化について詳しく解説しています。ご興味がありましたら是非ご覧ください。

GfK のマーケティング ミックス オプティマイザーの詳細については、弊社の MMO Web ページにアクセスするか、MMO eブックをダウンロードしてください。

 

出典 

  1. UNCTAD, May 2021 
  2. Digital Commerce360, February 2021 
  3. IMRG Capgemini Online Retail Results for January 2021 
  4. ONS Retail Sales: Great Britain, January 2021 
  5. SensorTower Mobile Market Forecast 2021-2025 
  6. GfK Market Intelligence: Sales Tracking, Q1 2021 
  7. WTO and UNCTAD for trade volume data; WTO for forecasts, March 2021