20.05.2016

「GfK調べ:2016年第1四半期 スマートフォンのグローバル販売動向」

 【概要】
・低価格帯製品が引き続き数量ベースでの市場成長をけん引
・西ヨーロッパ市場では、平均単価の上昇が、販売数量の減少を埋め合わせ
・中国は数量前年比19%増と最も高い成長率を記録

2016年第1四半期(1-3月)におけるグローバルのスマートフォン販売台数は前年比6%増の3億3720万台となった。経済の世界的な低迷にも関わらず、多くの新興国では低価格帯製品の販売が伸長した。また、中国は数量前年比19%増と大幅に成長した。4Gへの移行促進を目的とした携帯電話会社の補助増加がこれをけん引した。

GfKのトレンド&フォーキャスティングのダイレクターであるケビン ウォルシュは次のように述べています。「第1四半期のスマートフォン販売は、プラス成長を維持したものの、その成長は減速している。従って、2016年通年の販売台数は、従来の予測をやや下回り前年比5%増にとどまると見込む。 」

北米: オペレーターの販促により、数量前年比4%増
北米における2016年第1四半期のスマートフォン販売は、前四半期のマイナス成長から回復し、数量前年比4%増の4540万台となった。この伸長は携帯電話会社の積極的な販促活動によって支えられた。しかしながら、販促コストの観点から、今後も同じ水準を保つことは難しい。加えて、4Gへの移行も最終段階にある。スマートフォンの買い替えサイクルが長期化する中、契約者の維持が新規契約の獲得より重要になる局面にある。

西ヨーロッパ:市場の飽和に伴い 初のマイナス成長に転じる
西ヨーロッパにおける2016年第1四半期のスマートフォン販売は、数量前年比6%減の3000万台となった。サムソンのGalaxy S7やS7 Edgeが発売後3週間、好調に推移したが、市場全体をプラス成長に押し上げるには至らなかった。
ドイツは西ヨーロッパで最大のスマートフォン市場であるが、数量前年比11%減と大きく縮小した。今後、幾分かの回復が見込まれるものの、2016年通年でも同3%減が予測される。
西ヨーロッパにおける2016年下半期のスマートフォン販売はアップルのiPhone 7の発売に支えられ、部分的には回復することが見込まれる。iPhone 7の発売は2015年のiPhone発売より押し上げ効果が高いと見込まれる。多くの支持を得たiPhone 6、6Plus の発売から2年がたち、新機種への買い替えを待ち望んでいるユーザーは多いとみられる。

中央・東ヨーロッパ: ロシアの回復によりプラス成長
中央・東ヨーロッパにおける2016年第1四半期のスマートフォン販売は、数量前年比1%増の1710万台となった。ポーランドの伸長が一服する中、ロシアは2015年のマイナス成長から回復しつつある。従って、中央・東ヨーロッパにおける2016年通年のスマートフォン販売は同5%増の7700万台を見込む。

中南米: 3四半期連続のマイナス成長
中南米のスマートフォン販売はマイナス成長が続いており、2016年第1四半期は数量前年比11%減の2480万台となった。ブラジルの経済および政治の状況不安はこの縮小に大きく影響した。今後のオリンピックもこの状況を打開するには至らないと見られる。一方、経済の回復がみられたアルゼンチンは需要の回復が見られた。
2016年通年の中南米のスマートフォン販売は同12%減を予測する。ただし、ブラジルを除いた地域では同7%増を見込む。

中東・アフリカ:マクロ経済の低迷により成長鈍化
中東・アフリカ(MEA)では成長が鈍化し、2016年第1四半期のスマートフォン販売は数量前年比5%増にとどまった。サウジアラビアとナイジェリアにおける原油価格の下落はこの需要の減退にもつながっていると見られる。
同地域におけるスマートフォンの平均価格は前年同期から11%下落し247USドルとなった。これは、100ドル未満の端末へ需要がシフトしている為で、同価格帯は前年同期の22%から拡大し、2016年第1四半期では26%を占めた。
2016年通年のスマートフォン販売は数量前年比12%増の1億8300万台を見込む。

中国: 約2年間に渡る力強い成長
中国における2016年第1四半期のスマートフォン販売は数量前年比19%増の1億920万台に達した。中国のこの力強いプラス成長はほぼ2年間続いている。携帯電話会社の補助増加とデータプラン料金の値下げにより4Gへの移行が進展し、第1四半期における4G端末の販売台数は前年比58%増となった。また、その構成比はスマートフォン販売台数の95%超に達した。中国における2016年通年のスマートフォン販売は数量前年比7%増の4億1100万台を見込む。

APAC先進国*:市場は飽和に近づく
APAC先進国における2016年第1四半期のスマートフォン販売は数量前年比4%減の1870万台となった。国別にみると、日本は同1%増となった。政府よりスマートフォンの端末販売適正化に関する要請が出されたことにより、1月には駆け込み需要が発生し、2月以降は反動減がみられた。日本における2016年通年のスマートフォン販売では同1%増を見込む。
一方、韓国やオーストラリアなどの他の主要国は、サムソンのGalaxy S7と S7 Edge発売という後押しがあったが、マイナス成長となった。
APAC先進国ではスマートフォンの普及が上限に近づいており、2016年通年の販売台数は同8%減を見込む。

APAC新興国*: 一次的な縮小へ
APAC新興国は2015年のグローバルスマートフォン市場における成長のけん引役であった。しかしながら、2016年第1四半期は数量前年比5%減に転じた。携帯電話会社のデータ料金の値上げによってインドの需要が低下したことが影響した.。ただ、同市場では新しい携帯電話会社の参入が予定されており、価格競争が起こることが考えられる。このため需要の低迷は長く続かないと見られる。また、“インド製スマホ”への取り組みは端末価格の低下を促すと見られる。
インドやインドネシアなどの主要国では、ローカルベンダーと中国ベンダーがより安価なスマートフォンを競って提供しており、価格競争が過熱している。その一方で100USドル未満の低価格端末の普及は30%にとどまっており、潜在需要は依然高い。

GfKのテレコム部門のダイレクターであるアーント ポリフケは次のように述べています。「コネクテッド化が進む消費者はただつながることではなく、意識することなく完全にテクノロジーが融合することを求めています。スマートフォンをみると、依然、ただつながることだけを目的とする消費者により市場が成長している側面があります。とくに新興国市場ではこれが顕著です。ただし、私たちは、ウェアラブル、バーチャルリアリティ、スマートホームの成長という次の流れが、どのように2016年以降のスマートフォンの成長を補完するかに注目しています。」

 

--注記 --
※. 本リリースではメーカー出荷ではなく、消費者の最終需要を予測しています。市場規模は90カ国以上で毎週更新される販売実績(POSデータ)の積み上げによって作成されています。なお、アメリカについては、独自の市場モデリング及び消費者調査を基に推計を行っています。 また、販売金額は補助金を除く小売り販売額です。データは四半期毎に更新され、次回のリリースは2016年8月を予定。データの精度を保持するため、パネルの構成に変更が生じた場合は過去に公表した数値を修正する場合があります。

※ リリース内におけるAPAC先進国・新興国には以下の国が含まれます。
APAC先進国:オーストラリア、香港、日本、ニュージーランド、シンガポール、韓国、台湾
APAC新興国:インド、インドネシア、カンボジア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム

GfKについて
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