10.02.2016

「2015年 家電・IT市場動向」

GfKジャパン株式会社(東京:中野区)は、全国の有力家電・IT取扱店の販売実績データ等を基に、2015年の家電およびIT市場の販売動向を発表した※1。

【国内家電流通】
  2015年の家電小売市場規模は前年比5.7%減の7兆1,100億円となった。IT関連製品は前年のWindows XPサポート終了以降消費が上向かず、また、大型生活家電や季節家電では冷夏・暖冬がマイナス要因となった。話題となったインバウンド需要も、局地的には影響が見られたものの、市場全体では明確な押し上げ要因とはならなかった。こうした中、家電小売市場におけるインターネット通販の金額構成比は前年から1.2%ポイント上昇し11.6%となった。利用者の裾野拡大に加え、大手事業者やインターネットショッピングモールにおける大型セール開催などが後押しとなっており、今後も構成比は徐々に拡大すると見られる。

 【AV市場】
 AV市場は、2015年も薄型テレビやBlu-ray Disk(以下BD)/DVDなどの主要製品で販売数量の減少が継続した。こうした状況下、4Kやハイレゾ等の高付加価値製品への需要は増加傾向にあり、金額規模を下支えした。

  2015年の薄型テレビ販売台数は前年比1%減の570万台となった(図1)。ケーブルテレビ局のデジアナ変換サービス終了に伴い、アナログテレビの買い替え特需が期待されていたが、その影響は限定的であった。4Kテレビを中心に大画面製品の販売が拡大したことから、税抜き平均価格は64,700円と前年から2%上昇した。結果、金額前年比では僅かであるが2年連続のプラスとなった。
 4Kテレビの販売台数は前年の3.2倍となる54万台となり、テレビ全体に対する4Kテレビの構成比は数量ベースで前年の3%から9%に、金額ベースで13%から30%に拡大した。4Kテレビの平均価格は40インチ台の小型製品が増えたこともあり、前年を29%下回り207,600円となった。

BD/DVDは前年比11%減の460万台となった。数量で3割強を占めるDVDプレーヤーは同16%減と縮小が続き、2割弱を占めるBDプレーヤーも同2%減と初めてマイナス成長に転じた。残りの5割を占めるBDレコーダーは同9%減の230万台と4年連続のマイナス成長となった。BDレコーダーでは内蔵HDD容量の拡大、チューナー数の増加が続いており、1TB以上搭載モデルは数量構成比で前年の44%から51%へ、3チューナー以上搭載モデルは前年の12%から18%へ拡大した。

 オーディオ市場で比較的需要が安定しているヘッドホン/ヘッドセット※2は前年比1%減の1870万本となった。数量は2012年以降微減が続くが、高価格帯製品の販売拡大により、金額ベースでは拡大傾向にある。2015年の金額前年比は9%増と3年連続でプラス成長となった。平均価格は前年から1割上昇し3,400円となった。ハイレゾ対応機は、相次いで新モデルが発売され、販売本数が前年の2倍に増加した。

 【テレコム市場】
  2015年の携帯電話は前年比6%減の3,110万台となった(図2)。スマートフォン(ファブレット含む)は同1%減の2,540万台。携帯電話販売における数量構成比は82%となった。フィーチャーフォンの販売が年々縮小し、スマートフォンも伸び悩む中、9月以降は端末値引きの減少も影響した。2015年は「SIMロック解除に関するガイドライン」が改正され、注目を集めたが、MVNO関連市場への影響は限定的で、スマートフォン販売に占めるSIMフリーモデルの数量構成比は2%にとどまった。スマートフォンでは大画面化が進んでおり、5インチ以上の数量構成比は前年の35%から40%へ拡大した。

 ウェアラブル端末※3は前年比95%増の130万台と、100万台の大台を突破した(図3)。特にスマートウォッチはアップルウォッチの発売を受け急拡大し、前年の約7倍の40万台となった。フィットネストラッカーは新モデルの好調な販売に牽引され、前年比52%増の60万台となった。リストバンド型が数量構成比で前年から22%ポイント拡大し59%を占めた。スポーツウォッチは同41%増となった。

 【IT・オフィス市場】
  2015年のIT・オフィス市場は、XPサポート終了に伴う特需の影響が色濃く見られ、パソコン※4を中心に多くのカテゴリでマイナス成長となった。このような中、タブレット端末はプラス成長を維持した。

 パソコンは前年比30%減の1,110万台となった。リテール市場は同28%減の370万台で、消費増税やXP特需後の対比となる下半期もマイナス成長が続いた。スマートフォンやタブレット端末の影響もあるが、パソコン自体の性能向上もあって、近年市場を支えていた買い替え需要は大幅に縮小していると推測される。3年ぶりの刷新となったWindows10の数量構成比は6%にとどまった。こうした中、インターネット販売の数量構成比は徐々に拡大しており、前年から3%ポイント拡大し、リテール市場の11%を占めた。一方、リセラー市場は同32%減となった。上半期はXP特需との対比となるため前年比が大きく落ち込んだが、年末にはその影響も薄れプラス成長に転じた。

 タブレット端末※4はプラス成長が続き、前年比16%増の730万台となった。リテール市場はキャリア各社が端末・通信費割引キャンペーンを実施したことが奏功し、同15%増の420万台となった。回線付モデルの数量構成比は前年の53%から69%に拡大した。画面サイズ別では、回線付モデルが拡充した8インチ(8.0-8.9インチ)が前年の6%から拡大し25%を占めた。リセラー市場ではサービス業、建設業、製造業など多くの業種で導入が進んでおり、数量前年比は31%増となった。

 パソコンとタブレット端末と合わせてみると、市場は前年比17%減の1,840万台となった(図4)。このうちタブレット端末とタブレットPC※5を合算したタブレット形状デバイスの占める割合は46%に拡大した。この割合はリテール市場においては前年から12%ポイント増え57%と過半数に達した。リセラー市場においても前年から9%ポイント拡大したが、19%にとどまった。

 PCディスプレイは2013年、2014年と2年連続のプラス成長を記録していたが、2015年は反動減もあり前年比19%減の350万台となった。リテール市場はXP特需の影響が小さかったため、反動減も少さく同9%減の80万台となった。4Kの構成比は数量ベースでは3%にとどまったが、金額ベースでは1割弱となった。また、前年の特需が大きかったリセラー市場は数量前年比22%減となった。

 プリンター・複合機は前年比6%減の570万台となった。リテール市場は7%減の410万台であった。スマートフォンやタブレット端末との連携が強化され、インクジェットではワイヤレスLAN対応機の数量構成比が89%、クラウド対応機が87%に達した。また、15年は旧製品の構成比が高かったため、平均価格は前年を11%下回った。

 【イメージング市場】
  2015年のデジタルカメラ市場は数量前年比24%減の500万台と5年連続でマイナス成長となった。コンパクトカメラは同27%減の330万台と、レンズ交換式カメラはミラーレス、一眼レフ共に二桁減となり、同17%減の170万台となった。エントリーモデルの販売が減少する一方、コンパクトカメラやミラーレスで高価格帯モデルの販売伸長が顕著だったため、デジタルカメラの平均価格は前年から11%上昇した。
 2009年以降拡大基調にあった交換レンズは、レンズ交換式カメラの販売減を受け、前年比3%減の95万本にとどまった。

【生活家電市場】
  2015年の生活家電市場は消費増税時の需要の先食いや冷夏・暖冬の影響を受け、大型生活家電を中心に前年を下回る販売となった。ただし、電動歯ブラシやシェーバーなどの理美容家電やコーヒーメーカーなどの調理家電ではプラス成長のカテゴリーも多く見られた。

 冷蔵庫は前年比10%減の440万台となった(図5)。容量クラス別の数量構成比は、前年に大容量クラスが著しく拡大したこともあり、小容量クラス(200L以下)が前年から3%ポイント増加し38%、大容量クラス(401L以上)が2%ポイント縮小し40%となった。ただし、2014年に登場した700L台の販売台数が前年の約4倍に拡大するなど、大容量クラスにおける容量増は進展している。省エネ性能の向上も続いており、年間消費電力200kWh以下の数量構成比は前年から3%ポイント拡大し26%を占めた。

 洗濯機市場は前年比10%減の480万台となり、5年ぶりに500万台を下回った。販売数量で市場の85%を占める縦型が数量前年比9%減、ドラム式が同10%減となった。容量クラス別の数量構成比では、小容量(6kg未満)が26%、中容量クラス(6kg以上8kg未満)が34%、大容量クラス(8kg以上)は40%を占めた。なお、10kg以上の数量構成比は前年から4%ポイント拡大し12%に達するなど、大容量モデルへの高いニーズが見られた。洗濯時間は引き続き短縮しており、ドラム式では洗濯時間40分未満が約8割を占めた。
 
 エアコンは前年比8%減の770万台となった。冷夏により最需要期である夏季の販売が平年を下回り、さらに暖冬により冬の需要も鈍かった。搭載機能別の数量構成比は、人感センサー機能が44%と前年から4%ポイント拡大した。また、スマートフォン連携機能も前年の43%から59%に拡大した。ただし、同機能の利用に必要な別売り機器の販売台数は、搭載エアコン販売の1%にとどまっており、普及は限定的と言える。また、手間軽減や清潔へのニーズを背景に支持されてきた自動フィルタークリーニング機能は拡大が一服し前年並みの50%にとどまった。また、冷房能力クラス別数量構成比に大きな変化はみられなかった。

掃除機は前年比11%減の860万台となった(図6)。スティックタイプが数量前年比3%増、ロボットタイプが同6%増となるも、シリンダタイプの同12%減、ハンディータイプの同26%減を補うには至らなかった。スティックタイプでは、引き続きコードレスがけん引し、コードレスの数量構成比は前年から8%ポイント拡大し61%を占めた。また、前年マイナス成長に転じたロボットタイプは国内外メーカーの参入により市場が盛り上がった。ハンディータイプは前年に大幅拡大した布団専用クリーナーの販売減が影響した。結果、タイプ別の数量構成比ではシリンダタイプが前年から2%ポイント縮小し47%、スティックタイプが4%ポイント拡大し27%、ハンディータイプは4%ポイント縮小し20%、ロボットタイプは1%ポイント拡大し5%を占めた。

 

※1. 全国の有力家電・IT取扱店(家電量販店、地域家電店、総合量販店、カメラ専門店、携帯電話専門店、総合ネット通販等)からPOS データ等を収集し、統計的な手法に基づき全国市場規模相当に拡大推計した
※2. ヘッドホン・・マイク無しのイヤホン・ヘッドホン製品(ステレオのみ)、 ヘッドセット・・マイクを備えたイヤホン・ヘッドホン製品(ステレオ・モノラル)
※3. ウェアラブル端末・・搭載されているセンサーを利用して心拍や位置情報などのライフログを収集し、スマートフォン等と連携する
※4. タブレット端末・・画面サイズ5.6inch以上、タッチスクリーンを備え、iOS,Android等の軽量OSを搭載するスレート型情報端末
※5. タブレットPC・・Windows8/8.1/10搭載のスレート型情報端末でパソコンに含まれる

<以下より図表付きの資料をダウンロードいただけます>

※2016年3月7日 凡例に誤りがありましたので、図6を修正いたしました。

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