28.02.2019

「GfK調べ:2018年 グローバルのスマートフォン販売動向」- 販売金額は前年比5%増の5,220億ドル

2018年におけるグローバルのスマートフォン販売台数は前年比3%減の14億4,000万台となったが、販売金額は前年比5%増の5,220億ドルに拡大した。高価格帯製品の好調により平均価格が上昇し、金額規模を押し上げた。

 
・高価格帯製品の成長がスマートフォン販売をけん引
2018年のスマートフォン販売における価格帯別の金額構成比をみると、ボリュームゾーンである中価格帯(150-400ドル)が前年の44%から46%に、高価格帯(800ドル超)は、9%から12%に拡大した。その結果、スマートフォン全体の平均価格は、前年から9%上昇し、364ドルとなった。

なお、直近の第4四半期(10-12月)においては、販売台数が前年比7%減の3億7,500万台、金額が前年比9%減の1,440億ドルとなった。平均価格は、上昇が著しかった前年同期と比較して2%低下し、384ドルとなった。機能面での大幅なイノベーションが見られなかったことが、買い替えサイクルの長期化や平均価格の低下の一因になったとみられる。

・APACの販売動向
グローバルのスマートフォン市場規模の半分程度を占めるAPACの市場動向をみると、2018年の販売台数は前年比3%減の7億3,200万台超、金額は前年比5%増の2,540億ドル超となった。

大手スマートフォンメーカーを擁する中国は、グローバルにおけるスマートフォン販売金額の3割、APACでは6割を占める最大市場となっている。ただし、市場の成熟とともに需要は減少傾向にあり、販売台数は前年比12%減、金額は前年比1%減と、グローバル全体の販売に大きく影響した。国内の販売は低調でありながら、中国メーカーのグローバルにおけるプレゼンスは高まっており、特にアジア新興国においては、手ごろな価格帯や新機種の発売サイクルの速さで人気を集めている。

APAC第2のスマートフォン市場規模であるインドは、販売台数前年比19%増の1億6,100万台超、金額前年比21%増の285億ドル超と、大幅に伸長した。インドのようなアジア新興国ではフィーチャーフォンが携帯電話市場の半数以上を占める傾向にあり、スマートフォンへのシフトの加速が市場成長を支えている。

・消費者ニーズの変化と今後のスマートフォン需要
GfKのConsumer Life調査では、所有という観点においてグローバルの消費者トレンドに変化がみられた。“数はより少なく、より質の高いものを所有したい”という高級志向に加えて、体験を重視する傾向が強まっている。2018年の調査ではグローバル消費者の45%が“所有することよりも体験することに価値がある”と回答しており、この割合は2016年から7%ポイント上昇した。

GfKのテレコム市場のエキスパートであるイゴル・リッチャーは次のように述べている。「スマートフォンの最新機能のパフォーマンスや計算能力はノートパソコンに匹敵するレベルといえるが、その高いスペックをもって新たな体験を創造できるかが鍵になる。パソコン市場に目を向けると、高機能のゲーミングPCが話題を集め、すでに市場をけん引する要素となっているが、スマートフォン市場においてはゲーミングに対する需要開拓の余地が未だ大きい。パソコンと比較すると小型であるにも関わらず、処理速度の高いチップセット、精細なディスプレイ、大容量バッテリーを搭載したスマートフォンは、外出先でのゲーム体験に理想的なデバイスとなりうる。スマートフォンユーザーの55%が“過去30日以内にスマートフォンでゲームをした”と回答しており、スマートフォンのゲーム利用への需要は非常に高いことがうかがえる」

テクノロジーの進化に伴ってスマートフォンの高機能化は進展しており、今後も大画面化や、カメラの高画質化、デュアルレンズの搭載といったトレンドは継続するとみられる。こうしたスペックの高さだけでなく、スマートフォンを通じていかに魅力的な体験ができるかという点が、消費者の需要を左右する重要な要素の1つになると考えられる。


--注記 --
*世界75カ国以上における販売実績に基づく。アメリカについては独自の市場モデリング及び消費者調査を基に推計。販売金額は補助金を除く小売り販売額。


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