06.01.2022
現在は変化のスピードが速く、消費者の動向も販売チャネルの標準も変わり続けています。 インフレの課題から持続可能性のニーズの高まりまで、ブランドが直面する課題は膨らんでおり、新型コロナウイルスがそこに大きな影響を及ぼしました。 上向きが続いている分野もあり、GfKの調査では、2021年はテクノロジーおよび耐久消費財のみで世界売上高が1兆4,140億ドルに達する見込みであり、経済の成長と回復が起きている1ことが示唆されていますが、一方で量的需要が鈍化し始めている可能性を示す兆候もあります。
ブランド戦略においてはプレミアム化を進める傾向が強まっていますが、そこにはリスクとチャンスが混在しています。 そのような環境の中、成果を上げているのは、ブランド構築に投資している企業であり、そのような企業はデータを活用して市場に対応し、データなどからの 情報に基づく意思決定を行っています。 単に製品のデザインを変えたり、プレミアム版をロンチするだけでは十分ではありません。 魅力的な本物のブランドストーリーの構築に注力し、そのポジショニングやコミュニケーションを効果的に行うことがきわめて重要です。
GfKのグローバルセールス、ブランドおよびマーケティングインテリジェンス責任者であるMadalina Carsteaは次のように語っています。「企業は消費者が何に関心を持っているかを調査する必要があります。」 「購入者から支持される理由、そして何が購入決定の動機となっているかを知る必要があります。 ターゲットとする消費者の価値観や特徴を明確にし、理解することにより、適切な訴求ポイントでブランドの認知度を高める施策が打てるようになります。」
販売量を増やしたい、プレミアム価格による収益を高めたいなど、企業によって目標は異なります。 目標はさまざまです。 どのような経営における目標を立てているかにかかわらず、的を絞ったブランド成長戦略を策定するには、消費者と購入理由を知ることが重要になります。
しかし、現在だけでなく、将来を見通した最適な戦略を練り上げるのは、簡単ではありません。 ブランド力には2つの側面があります。 1つはブランドの購入につながる要素(ブランド選択)、もう1つは価値を認めて、より高額なものを求めるという意欲につながる要素(ブランドプレミアム)です。 GfKでは、両者の側面を捉えて1つの指標にまとめています。 この指標は、現在のブランドの強みを示します。企業が選択する戦略(プレミアムの強化、販売量の増加、またはその両立)に沿って、将来の成長に向けた意思決定を行ううえで役立ちます。
「ブランドの管理に万能のアプローチはありません」とMadalinaは言います。 「競争から抜け出すには、考え抜かれたアプローチが必要です。顧客インサイトや販売データ、ブランドの業績指標を活用して、本当に重要なポイントに注力する必要があります。」
ブランド選択とブランドプレミアムにつながる要因は、ビジネスにおける目標を深く知ることで明確になります。勝つ為のブランド戦略を策定する為には、これらの要因を理解する必要があり、消費者の購入判断に効果的に影響を与えるアクションが求められます。
プレミアムセグメントは急速に拡大しており、新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)とDX(デジタルトランスフォーメーション)によりこの傾向が加速しています。 旅行や体験への支出が減少したことで可処分所得が増加し、消費者の間でプレミアム商品への投資意欲が高まっています。
成果を上げているプレミアムブランドにはそのカテゴリを変革する可能性があり、高いプライスポイントを維持しながら大きな市場シェアを獲得しています。AppleとDysonはその好例です。 プレミアムセグメントに参入するブランドが増加し、競争が激化しています。新規参入の企業もすでに参入している企業も、ポジションを確立し、維持するには、懸命な取り組みが必要となります。
ブランドに愛着を持ってもらうことが、ブランドプレミアムを創出するための基盤となります。 ブランドプレミアムの向上を目指すブランドは、消費者にブランドのアイデンティティ、価値、目指すイメージが支持されるように、意味のある、強力なつながりを築く必要があります。
顧客が満足するような優れた品質と機能を備えた、高品質な商品であることが不可欠です。 プレミアムと言う以上は、デザインや革新性、他にはない体験を通じて、真の卓越性を提供する必要があります。
また、あらゆるタッチポイントで競合に対する優位性を示し、消費者の期待以上のものを提供し、商品の独自性をアピールしていく必要があります。 適切な専門家やセレブリティの協力を仰ぐことも、信用や信頼を築き、魅力的に見せるうえで役立ちます。 嘘がなく、しっかりと目を引くような、意味のあるキャンペーンになるよう、十分に注意を払う必要があります。
ブランドが販売量の拡大を目指す場合、消費者自身のアイデンティティや価値観を反映したブランドとのつながりに着目して、ブランドへの愛着について考える必要があります。 独自性のあるブランドイメージの重要性はそれほど高くなく、付加的な要素よりも、根幹をなす機能性の方が重要です。 効果的にブランド選択を促進するには、まず、商品の入手しやすさ、手ごろな価格設定、使いやすさを実現する必要があります。
成果を上げるうえで同じく重要なこととして、信頼の構築が挙げられます。消費者が求めるのは、信頼できる製品やサービスです。 消費者の信頼を裏切れば、売上も評判も下げることになります。 そのため、カスタマージャーニーのすべての段階において一貫した製品品質、ブランド価値、体験を提供する必要があります。
優れたブランドは、顧客と自社のビジネスを知り尽くしています。 そのため、魅力的なブランド体験を生み出すことができ、売上の拡大、プレミアムの促進、またはその両方の実現につながります。 突き詰めれば、勝つ為の戦略とは、より多くの顧客を獲得し、維持し続けることで、将来にわたってブランドを維持することです。 それを達成するには、適切なインサイトの活用が不可欠です。インサイトを収益に結び付け、ビジネスを前進させ続けるための行動につなげる必要があります。
ブランド力を強化し、成果を上げるための戦略について詳しくは、オンデマンドウェビナー「Brands of Tomorrow」をご覧ください。。
参考資料
GfK Retails Insights T&D 2021