12.01.2017

「コネクテッドカーに関する調査」 - 完全自動運転の必要性は運転の好き嫌いで変化

 GfKジャパン(東京:中野区)は、全国のドライバー12,745名に対し、コネクテッドカー(近未来の自動車)に関するインターネット調査を実施した。調査結果より、自動運転の必要性や未来の車に必要なテクノロジーについて発表した。

【概要】
  ・自動運転レベル3(システムが要請した時のみドライバーが対応する)の必要性を感じているドライバーは6割。
  ・自動運転レベル4(人間が運転操作しない完全自動走行)を必要としたのは4割弱。運転嫌いの人では過半に。
  ・IoT関連機能で最も必要とされたのは「緊急通報システム」。

【レベル定義別に見る「自動運転」の必要度合い】
  更なる技術発展と実用化が期待される自動運転について、その必要性を全国のドライバー12,745名に尋ねた。自動運転は、ドライバーの運転への関与度合いをもとに現在4段階※1にレベル分けされているが、実用化されている自動ブレーキや車線維持などのレベル1、2については70%以上の人が必要と回答した(図1)。また、高速道路内などの限定された交通条件下での自動運転機能を有し、必要な時にはドライバーが操作するレベル3に関しては59%が必要とした。こうした一方で、人間が全く運転操作に関与しないレベル4(完全自動運転)については38%にとどまった。
 年代別に見ると、60代以上ではレベル1、2を必要とした人は80%以上、レベル3を必要とした人は67%に上った。安全運転を支援する自動運転機能は高齢層の関心が高いことが明らかになった。一方で、完全自動運転であるレベル4については世代間で大きな差は見られず、必要とした人はいずれの世代においても40%前後となった。ただし、運転の好きな人と嫌いな人に分けてみると、運転が嫌いな人※5ほど完全自動運転を必要と考える割合が高く、52%に達した(図2)。
 完全自動運転では運転操作の全ての工程をシステムが賄うが、全てを依存することに対する不安は世代を問わず大きい。実用化に向け、今後、システムの安全性を高め、消費者の理解を深めることが必要となるが、訴求にあたっては運転操作に消極的な層に目を向ける必要がありそうだ。

【コネクテッドカーに求めるテクノロジー】
 IoT(Internet of Things、モノのインターネット)化が進む中、自動車をとりまく技術発展への注目度は高い。ドライバーが未来の自動車に必要と感じているIoT関連テクノロジーについて尋ねたところ、最も多く(82%)が必要と答えた機能は、事故の際に救助を要請する「緊急通報システム」であった(表1)。これに次いで「リアルタイムで最適な走行ルートを分析するカーナビ等の機能」 、「盗難車両追跡システム」があげられた。
 なお、世代別に見ると、「緊急通報システム」は50代以上の世代で最も必要視されていた。一方で、40代では「リアルタイムで最適な走行ルートを分析するカーナビ等の機能」、30代以下では「盗難車両追跡システム」がトップにあげられ、世代間の差がみられた。今後様々なIoT関連機能が登場すると見られるが、ターゲット層に応じてどのように取捨選択が進むか注目される。

 

※1. 安全運転支援システム・自動走行システムの定義(官民ITS構想・ロードマップ2016より抜粋)(今後自動運転の技術区分を見直し、レベル5を新設予定)
・【レベル1】
 概要:加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行う状態
 実現するシステム:安全運転支援システム
・【レベル2】
 概要:加速・操舵・制動のうち複数の操作を一度にシステムが行う状態
 実現するシステム:準自動走行システム(自動走行システム)
・【レベル3】
 概要:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、システムが要請した時のみドライバーが対応する状態
 実現するシステム:準自動走行システム(自動走行システム)
・【レベル4】
 概要:加速・操舵・制動を全てシステムが行い、ドライバーが全く関与しない状態
 実現するシステム:完全自動走行システム(自動走行システム)

※2. 自動運転レベル定義ごとの必要度合いの設問
・【自動運転レベル1】アクセル・ブレーキの踏み間違いに対する自動ブレーキや、横滑り防止などの自動運転の機能は、あなたにとって必要だと思いますか?
・【自動運転レベル2】居眠り運転防止、車線維持などをサポートする自動運転の機能は、あなたにとって必要だと思いますか?
・【自動運転レベル3】駐車場内や高速道路内など、限定された交通条件下での自動運転の機能は、あなたにとって必要だと思いますか?
・【自動運転レベル4】乗員(人間)は行き先を決めるだけで、運転操作を全く行う必要のない自動運転の機能は、あなたにとって必要だと思いますか?

※3. 「必要」と「どちらかと言えば必要」の合計
※4. 「必要ではない」と「どちらかと言えば必要ではない」の合計
※5. 「運転が嫌いな人」と「どちらかと言えば運転が嫌いな人」の合計


「コネクテッドカー(近未来の自動車)に関する調査」概要
■ 調査期間:  2016年11月14日~11月27日(計14日間) 
■ 調査方法:   インターネット調査
■ 調査対象:  自動車保有者 12,745名  *セルごとの割り付けはせず、ノンウェイト集計
■ 調査内容: 車の関与度(利用頻度、利用シーン、運転への好意度、車の所有欲)、車に求めるモノ(運転しやすさ、経済性、走り・スピード、安全性、耐久性、高級感、レジャー性、収容力)、自動運転について(必要度、完全自動運転実用化時の車両購入許容額・運転年齢)、コネクテッドカー関連テクノロジーの必要度(緊急通報システム機能、テレマティクス保険に利用される運転情報保存機能、自動車からの家電製品の制御機能など計14項目)
※保有車属性: 車種、ボディタイプ、エンジンタイプ、新車/中古車購入
※回答者属性: 性、年代、居住地(都道府県、都市・地方)、未既婚、同居家族(人数・続柄)、職業、世帯年収

 

 

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